「耳」の後遺障害。「耳の後遺障害(欠損障害・聴力障害・平衡機能障害・耳漏・耳鳴り)」、「耳の後遺症(聴力)の検査方法」、「耳の後遺症(平衡感覚)の検査方法」、「耳の後遺障害等級と慰謝料の目安」などについて解説します。
耳の後遺障害
耳の後遺障害は、主に以下の5種類です。
- ・ 欠損障害
- ・ 聴力障害
- ・ 平衡機能障害
- ・ 耳漏(じろう)
- ・ 耳鳴り
欠損障害
欠損障害は、耳介(じかい)が欠けたり、全部なくなってしまうことです。
耳介の2分の1以上がなくなってしまうと、後遺障害に認められます。
欠損障害ではなく、醜状障害(見た目が悪くなってしまったこと)として後遺障害に認められることもあります。
聴力障害
聴力障害は、難聴ともいいます。聴力障害では、音が聞こえづらくなったり、声をうまく聴き取れなくなったり等の症状があります。
聴力障害の等級の基準は、障害が残ったのが片耳なら「1耳の聴力障害」、両耳なら「両耳の聴力障害」となります。
平衡機能障害
平衡機能障害は、「真っすぐ歩けなくない」や「めまい」などの症状が出ます。
めまいは耳だけが原因とは限りません。むち打ちの症状として現れることもあるので、耳を怪我していなくても注意が必要です。
耳漏(じろう)
耳漏は、耳の穴から体液が流れでてくる状態です。交通事故で鼓膜に穴があくと発症することがあります。
耳鳴り
耳鳴りは、健康な人でもときどき経験するかもしれません。音が鳴ってないのに、耳に音を感じる状態です。
自覚症状とピッチ・マッチ検査、ラウドネス・バランス検査の結果を合わせて、後遺障害に認められます。
耳の後遺症(聴力)の検査方法
聴力検査には大きく以下の2つの検査方法があります。
純音聴力検査
純音聴力検査は、どのくらい小さな音まで聞き取れるかを調べる検査です。オージオメーターという機器を使います。
検査結果には「〇dB(デシベル)」と書かれています。dBは音の大きさを表す単位です。
例えば、検査結果に「30dB」と書かれていたら、「30dBより小さな音は聞き取れない」ことがわかります。
語音聴力検査
語音聴力検査は、語と語をはっきり聞き分けられるか調べる検査です。スピーチオージオメーターという機器が使われます。
検査結果には「〇%」と書かれています。値が大きいほどよく聞き分けられる」という意味です。
耳の後遺症(平衡感覚)の検査方法
平衡機能障害の検査方法は、「立ち直り反射検査」と「偏倚検査」の2種類です。
立ち直り反射検査
姿勢を保つために、体が動いたときに元に戻そうとする働きが「立ち直り」です。
立ち直り反射検査では、たとえば気をつけの姿勢で立ったり、両足を前後にまっすぐ揃えて立ったりして、姿勢を保てるかチェックする検査があります。
偏倚(へんい)検査
偏倚検査は、体の動きに偏りがないか調べる検査です。
例えば、体の動きに偏りがあると、まっすぐ歩いているつもりでも、どんどん違う方向に向かっていくことがあります。
偏倚検査の中でも、検査方法はいくつか種類があります。
代表的には、その場で50回または100回足踏みをして、体の向きが何度かわるか測る方法や、目を閉じて縦にまっすぐ文字を書き、字がどれだけ偏るか観察する方法などです。