コラム

2021.03.16

交通事故で片麻痺(半身麻痺)に。後遺障害等級認定のポイントを解説!

交通事故の被害は目に見えるケガ(外傷)ばかりではなく、手や足に麻痺が残るケースもあります。
その中でも、右手と右足、あるいは左手と左足といった左右どちらかの半身の麻痺を「片麻痺」といいます。
今回は、片麻痺の特徴や、後遺障害等級の認定を受けるためのポイントを解説します。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業、桐蔭法科大学院法務研究科修了。交通事故分野を数多く取り扱うほか、相続、不動産、離婚問題など幅広い分野にも積極的に取り組んでいる。ご依頼者様の心に寄り添い、お一人おひとりのご要望に応えるべく、日々最良のサービスを追求している。
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片麻痺とはどのような症状?

「麻痺(まひ)」とは、自分の思うように手や足を動かせなくなったり、感覚が鈍くなったりした状態をいいます。
手足の麻痺の症状は、どの部位に生じるかによって4種類に分かれます。

  • ・四肢麻痺…手足4本すべての麻痺
  • ・片麻痺…左右どちらかの半身(右手と右足、または左手と左足)の麻痺
  • ・対麻痺…両足の麻痺
  • ・単麻痺…手または足のいずれか1本の麻痺

中でも今回取り上げる片麻痺は、主に脳の損傷を原因として、左右片側の手足に麻痺が残るというものです。
脳損傷の度合いによって単麻痺となる場合もあれば、重度の四肢麻痺が生じる場合もあり、麻痺の症状の程度はさまざまです。

なお、交通事故の外傷によって麻痺が生じるもう一つの原因となるのが、背骨の中を通る神経の束である「脊髄」を損傷する「脊髄損傷」です。
脊髄損傷の場合は、「損傷した部位から下に脳からの信号が届かなくなる」という特性があるため、高い位置で脊髄を損傷すれば四肢麻痺に、低い位置での損傷であれば下半身だけの対麻痺になる可能性があります。

麻痺の程度による分類

麻痺の程度による分類

「どこに麻痺が生じたか」に加え、もう一つ重要なのが「麻痺の程度」です。
麻痺の程度は、高度の麻痺・中等度の麻痺・軽度の麻痺の3つに分かれます。

高度の麻痺

障害が残った手や足で、物を持ち上げたり、立ったり歩いたりといった基本動作ができないものをいいます。
関節が完全に固まってしまった・あるいはそれに近い状態になった場合や、自分の意思で手足を動かすことが極めて難しい状態になった場合が「高度の麻痺」に該当します。

中等度の麻痺

障害が残った手や足の基本動作にかなりの制限があるものをいいます。
手であれば、片手で仕事に必要な軽量の物(おおむね500g)を持ち上げることができない場合や、文字を書くことができない場合などです。
足であれば、片足に障害が残ったために杖や硬性装具がなければ階段を上ることができない場合や、両足に障害が残ったために杖や硬性装具がなければ歩行が困難な場合などが「中等度の麻痺」に該当します。

軽度の麻痺

障害が残った手や足の基本動作において、器用に動かしたり早く動かしたりといった性能が相当程度損なわれているものをいいます。
手であれば、文字を書くことに困難を伴う場合などです。
足であれば、片足の障害のために不安定で転倒しやすかったり、早く歩けなかったりする場合や、両足の障害のために杖や硬性装具がなければ階段を上ることができない場合などが「軽度の麻痺」に該当します。

該当する後遺障害等級

では、交通事故を原因とする片麻痺の症状が残った場合、後遺障害の何級に該当する可能性があるのでしょうか。
交通事故後に片麻痺の症状が残った場合の後遺障害等級認定では、麻痺の程度だけでなく、脳損傷の有無や、事故との因果関係が認められるか等が総合的に判断されます。

後遺障害等級は、最も重度の1級から、最も軽度の14級までに分かれています。
そのうち、片麻痺の症状で該当する等級は以下のとおりです。

第一級 身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
・高度の片麻痺であって、食事、入浴、用便、更衣等に常時他人の介護を要するもの
第二級 身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時他人の介護を要するもの
・高度の片麻痺が認められるもの
第五級 身体性機能障害のため、極めて軽易な労務のほか服することができないもの
・中等度の片麻痺が認められるもの
第七級 身体性機能障害のため、軽易な労務のほか服することができないもの
・軽度の片麻痺が認められるもの

慰謝料の金額

慰謝料の金額

交通事故でケガを負った場合、損害賠償として、治療費や車の修理費用だけでなく精神的損害に対する慰謝料の支払いを加害者に求めることができます。
慰謝料の中でも、交通事故の外傷による後遺症が後遺障害であると認定された場合に支払いを受けられるのが「後遺障害慰謝料」です。
この後遺障害慰謝料は、後遺障害等級ごとに金額が異なります。

また、慰謝料の算出方法には、「自賠責基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準」という3つの基準があります。
このうち、自賠責基準は被害者に対する最低限の補償であり、3つの基準の中では最も慰謝料の金額が低くなります。
これに対して、3つの基準の中で慰謝料の金額が最も高くなるのが弁護士基準ですが、弁護士基準による慰謝料を請求するには、弁護士に示談交渉を依頼する必要があります。

では、片麻痺の後遺障害で認定される可能性がある等級において、自賠責基準と弁護士基準それぞれの後遺障害慰謝料金額はどの程度異なるのでしょうか?

・介護を要する後遺障害(自賠法施行令別表第一)

等級 自賠責基準(※) 弁護士基準(赤い本基準)
第1級 1650万円 2800万円
第2級 1203万円 2370万円

・後遺障害(自賠法施行令別表第二)

等級 自賠責基準(※) 弁護士基準(赤い本基準)
第5級 618万円 1400万円
第7級 419万円 1000万円

※自賠責基準については、令和2年4月1日以降に発生した事故に適用される金額を記載。

このように、弁護士に示談交渉を依頼するかどうかによって、加害者側に請求できる慰謝料の金額は大きく変わってきます。
また、慰謝料以外の損害賠償の金額についても、弁護士が専門知識に基づいた適切な金額を算出することで、より納得できる金額で相手方との示談が締結できる可能性があるのです。

片麻痺の後遺障害等級認定のポイント

ここまで説明してきたとおり、事故後に残った後遺症が将来に渡って回復の見込みがないものであれば、申請によって後遺障害等級の認定を受けられる可能性があります。
後遺障害であると認定されるかどうかで、加害者に請求できる損害賠償の金額は大きく変わってきます。

そして、後遺障害等級の認定を受けるうえでの大きなポイントが、医師に作成してもらう「後遺障害診断書」です。
申請手続きに必要な後遺障害診断書を作成できるのは医師だけですので、病院での検査結果や治療の経過を、いかに適切な内容で記入してもらうかが重要になります。

しかし、事故後に治療にあたってくれた主治医が、必ずしも後遺障害等級認定の申請に詳しいとは限りません。
後遺障害診断書の作成を医師に任せっきりにしてしまうと、等級の認定を受けるうえで必要な情報が不足してしまい、結果として本来認定されるべき適切な等級よりも低い等級に認定されたり、後遺障害の認定を受けられない「非該当」という結果になったりする可能性があります。

また、交通事故で脳損傷が生じたケースでは、手足の麻痺といった身体性機能障害だけでなく、高次脳機能障害を併発することもあり、適切な後遺障害等級の認定を受けるハードルは高いといえます。
脳損傷による片麻痺で後遺障害等級認定の申請を行ううえでは、専門家である弁護士に依頼し、適切な内容の後遺障害診断書を提出するための助言を受けることが重要なのです。

まとめ

交通事故によって片麻痺の症状が残ると、日常生活にも支障をきたします。
事故の相手方である加害者側から提示された損害賠償の金額に納得がいかないことも十分ありえるでしょう。
このような場合には、弁護士に後遺障害等級認定申請の手続きや相手方との示談交渉を依頼するという手段が有効です。
交通事故の被害で片麻痺の後遺症が残った場合は、実績豊富なオーセンスの弁護士にぜひご相談ください。

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