コラム

2021.01.28

駐車場で交通事故に遭ったらどうする?過失割合や注意点について解説

交通事故というと道路上でのイメージが強いですが、自動車同士、あるいは自動車と歩行者の接触事故は駐車場でも発生します。
では、駐車場内での事故の過失割合はどのようになるのでしょうか?
道路上での事故とどのような違いがあるのか、確認していきましょう。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業、桐蔭法科大学院法務研究科修了。交通事故分野を数多く取り扱うほか、相続、不動産、離婚問題など幅広い分野にも積極的に取り組んでいる。ご依頼者様の心に寄り添い、お一人おひとりのご要望に応えるべく、日々最良のサービスを追求している。
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駐車場で事故に遭ったらどうする?

「駐車場は私有地なので、車にぶつけられたからといって交通事故とは言わないし、警察を呼ぶ必要もない」という話を聞いたことがあるかもしれません。
まず、この点について整理しておきましょう。

そもそも「交通事故」とは何かというと、道路交通法第57条第2項において「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊」と規定されています。
そして、この道路交通法は「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする(第1条)」法律です。
これを読む限りでは、たしかに道路ではない駐車場での事故は「交通事故」に該当しないようにも思えますね。

しかし、道路交通法第2条第1項では、道路法や道路運送法に定めのある道路だけでなく、「一般交通の用に供するその他の場所」も道路であると規定されています。
すなわち、私道や私有地であっても、不特定多数の人が自由に通行できるのであれば、道路交通法の適用を受けることがあるのです。
個別具体的な駐車場の状況によりますが、まずは「駐車場での事故も交通事故として扱われる可能性がある」ということを覚えておきましょう。

したがって、駐車場内での事故であっても「これは交通事故ではないから」と自己判断してはいけません。
駐車場内を車で走行しているときや歩いているときに事故に遭った場合も、その場で加害者と示談について取り決めてしまうことは禁物です。
後で示談交渉を行うことを前提に、加害者の氏名や連絡先をしっかり確認することが重要です。
また、警察や保険会社への連絡も必ず行いましょう。

過失割合とは

過失割合とは

過失割合とは、事故における被害者と加害者の責任の割合のことです。
交通事故の中には「加害者に100%の責任があり、被害者は一切悪くない」というケースもありますが、被害者側に前方不注意などの過失があった場合、被害者も事故の発生に一定の責任があるといえます。
例えば被害者側に20%の責任があったのであれば、被害者と加害者の過失割合は20%対80%で「20:80」となります。

そして、被害者にも事故の責任があった場合は、加害者が被害者に支払う損害賠償の金額から、被害者側の責任の分が差し引かれます。
これを「過失相殺」といいます。

例として、被害者と加害者の過失割合が20:80であれば、加害者から被害者に支払われる賠償金は20%減額され、80%分の金額となります。
この場合、被害者が受けた損害が100万円分であったとしても、実際に被害者が受け取ることのできる損害賠償は80万円となります。
被害者が加害者から受け取る損害賠償の金額は、過失割合によって大きく変わるのです。

駐車場での事故における過失割合

では、実際に駐車場内で交通事故が発生した場合、その過失割合はどうなるのでしょうか?
「駐車場での事故は当事者双方に責任があり、過失割合はお互い半分半分で50:50になる」という話を聞いたことがあるかもしれません。
確かにそのような過失割合となるケースもあります。

しかし、一口に駐車場内の事故といっても様々なパターンがあります。
代表的な事故の基本的な過失割合を見ていきましょう。
※これらはあくまで一般的な例であり、個別の事案における実際の過失割合は、駐車場の立地や事故の状況といった様々な要素によって異なってくる場合があります。

駐車場内での歩行者と自動車の事故

駐車場は文字通り自動車を駐車するための場所ですが、車の乗り降りをする人もおり、駐車している車の陰から突然人が飛び出してくることもあります。
したがって、自動車の運転者は歩行者の存在を予見し、いつでも停止できる速度で徐行しなければなりません。
またその一方で、歩行者も駐車場内では自動車の動きに注意しなければなりませんので、被害者(歩行者)と加害者(自動車)の過失割合は10:90となります。

駐車場内通路での出会い頭事故

駐車場内の通路が交差する場所で自動車同士が出合い頭に衝突するケースでは、直進や右折・左折の方向にかかわらず、過失割合は50:50となります。
ただし、一方の自動車が駐車場内の一方通行や一時停止を無視していた場合には、その自動車の過失割合の方が高くなります。

駐車場内通路での出会い頭事故

通路を通行する自動車と駐車スペースから出る自動車の事故

駐車スペースから通路に出ようとする自動車は、通路を他の自動車が走行していることに注意しなければなりませんので、このような事故では駐車スペースを出ようとする自動車により大きな過失があるとされます。
一方、通路を通行する自動車も、駐車スペースから自動車が出てくることに注意しなければなりませんので、通路を通行する自動車(青)と駐車スペースから出る自動車(赤)の事故における過失割合は30:70となります。

通路を通行する自動車と駐車スペースから出る自動車の事故

通路を通行する自動車と通路から駐車スペースに入る自動車の事故

駐車場は自動車を駐車するための場所であることから、通路を通行する自動車よりも、駐車しようとしている自動車の方が優先されます。
そのため、通路を通行する自動車(青)と通路から駐車スペースに入ろうとしている自動車(赤)の過失割合は80:20となります。
なお、駐車しようとしている自動車が前進していてもバックで駐車しようとしていても、過失割合には影響しません。

通路を通行する自動車と通路から駐車スペースに入る自動車の事故

駐車場事故特有の注意点

ここまで説明してきたとおり、道路上での交通事故と同様、駐車場内での事故にもさまざまなパターンがあり、事故の状況によって過失割合も変わってきます。
しかし、加害者側の保険会社と交渉する際に、こちらの過失が少ないにもかかわらず、納得のいかない過失割合を提示されることもありえます。
駐車場内には信号などもないため、どちらにより大きな過失があるかの判断は難しく、相手方との示談交渉が難航する可能性もあるのです。

より適切な金額の損害賠償を加害者に請求するためには、相手方との示談交渉の中で納得できる過失割合を主張しなければなりませんが、その交渉には専門的な知識が必要不可欠であり、個人で納得のいく示談内容を成立させるのは簡単ではありません。
このような駐車場での交通事故においては、相手方との示談交渉を弁護士に依頼することが選択肢のひとつになるのです。

まとめ

駐車場は私有地ということもあり、公道での交通事故と比較すると警察が積極的に対応してくれない可能性もあります。
相手方保険会社との示談交渉も含め、駐車場での交通事故においては、弁護士に依頼することに大きなメリットがあると言えるでしょう。

交通事故の過失割合は、相手方の保険会社から言われたとおりに決まるものではありません。
駐車場で交通事故の被害に遭い、示談交渉に不安がある場合や、提示された過失割合に納得できない場合は、ぜひ一度オーセンスの弁護士にご相談ください。

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