コラム

2020.05.08

交通事故の物損について解説!物損事故は損をする?

交通事故に関して多い質問の1つが、物損事故と人身事故の違いについてです。
なんとなくは知っていても、どういった事柄に影響があるのかまでご存じの方は少ないかと思います。今回は物損事故にフォーカスを当てた記事となっています。
物損事故の損害内容や人身事故との違い、万が一加害者となってしまった場合の注意点まで詳しく解説します。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業、桐蔭法科大学院法務研究科修了。交通事故分野を数多く取り扱うほか、相続、不動産、離婚問題など幅広い分野にも積極的に取り組んでいる。ご依頼者様の心に寄り添い、お一人おひとりのご要望に応えるべく、日々最良のサービスを追求している。
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物損事故とは

物損事故とは

  • ・ケガを負った人はいない
  • ・車両本体が破損、故障した
  • ・壁やガードレールなどに接触し傷つけた

など死傷者はおらず、物が壊れたなど物的な損害のみが発生した場合の事故をいいます。

一方で人身事故は、人の身体に何らかの損害が発生した場合の事故を指します。

物損と人身の違い

大きな違いは以下の3点です。

  • ・人身の場合は、自賠責保険の最低限補償がありますが、物損事故は補償されない
  • ・物損事故では、被害者が加害者側の過失を証明する必要がある
  • ・賠償金請求の相手方が異なる

物損事故では人身事故と比較して請求できる賠償金の種類が少ないのが通常です。
これは物損には慰謝料の項目がないためです。
また万が一、犬や猫などが被害に遭ったとしても動物は法律上「物」扱いのため、慰謝料請求の対象になることは滅多にありません。

物損事故が起きた際の処理の流れ

不幸にも事故に遭ってしまった場合、まずは落ち着いて正しい事故処理をするように心がけましょう。
この処理を誤ってしまうと、思いがけない違法行為になってしまったり、後々の手続きで不利になってしまう可能性も考えられます。
万が一の際に備えてぜひ参考にしてください。

警察へ連絡する

まず、事故が発生したら警察へ通報しましょう。
加害者が何らかの事情で「警察への通報はしないでほしい」と言ってくることも考えられます。
しかし加害者には事故発生を警察へ通報する義務があります。
加害者がどうしても通報をしない場合は、必ず被害者が通報するようにしましょう。

加害者の連絡先を控えておく

事故に遭ってしまった場合、相手の連絡先を必ず聞いてメモしてください。
中にはやましい気持ちから、警察が現場へ来る前にその場を離れてしまう人もいます。
保険の手続きや示談へ影響することもあるため、必ず相手の連絡先を控えておきましょう。

保険会社へ連絡する

そしてご契約されている保険会社があれば、保険会社への連絡も忘れないようにしましょう。
事故発生後はできるだけ早めに連絡するようにしてください。
一般的には事故発生から60日以内が期限となっていることが多いようです。

物損事故の損害賠償について

物損事故_損害賠償

やはり損害賠償について気になる方は多いのではないでしょうか?
どこまでが保証の範囲内になるかなど、解説していきます。

物損でも慰謝料は請求できる?

先にも説明しましたが、物損事故の賠償項目に慰謝料は存在していません。
しかし過去の判例の中にはごく稀に物損事故でも慰謝料が認められたケースがあります。
ですが、それらは特殊なケースばかりですので、原則は慰謝料の請求は認められていないと覚えておいて問題ありません。

治療費はどうなる?

そもそも治療が必要ということは、ケガをしていることになります。
物損事故として処理されている場合でも、ケガをしているのであれば人身事故となるため早急に切り替える必要があります。

修理費はどのくらい賠償される?

修理費は全てが認められるわけではなく、補償範囲は必要最低限にとどまります。ただし以下の場合は状況によって異なります。

車両が全損、あるいは経済的全損となったとき

車両の修理が不可能な状態を「全損」、修理は可能でも買い替えたほうが安いときを「経済的全損」といいます。
全損したとき、あるいは経済的全損となったときはその車両の時価相当額が補償額として認められます。

高級車や新車の場合

修理をしたとしても、その車の価値が著しく下がったと認められる場合に限り、評価損が認められることがあります。評価損の計算方法は明確に定まっていませんが裁判例では、修理代の一部(最大でも3割程度)を評価損として算定することが多いといえます。
明確な基準はありませんが、多くの裁判例からみるに、例えば国産高級車の場合、「登録後3年以内で走行距離が4万キロ以内」であれば評価損が認められる可能性が高いでしょう。

物損事故で保険金をもらえないケースと対処法

物損事故に遭ったからと言って、必ず保険金が受け取れるとは限りません。
受け取れないケースの事例と、対処法をご紹介します。

相手側が自賠責保険にしか加入していない

もし相手が自賠責以外の任意保険に加入していない場合は、相手方から直接修理代などをもらうしかありません。
自賠責保険には物損事故をカバーする項目がないためです。

相手側の任意保険に対物賠償の項目がない

相手側が自賠責以外の任意保険に加入していたとしても、その内容が対物補償のないものであれば保険金はもらえません。

相手側が非を認めず、保険会社に連絡しない

厄介なケースは、相手側が非を認めず保険会社へ連絡をしないときです。
保険会社というのは、加入者に賠償する義務があるときにのみ示談交渉などの手続きをスタートさせます。
したがって、相手側に非があると確定されなければ保険金を受け取るどころか話し合いにすらなりません。

いずれの場合も、ご自身で対処するのは困難です。
どうすれば良いのかわからないときは、早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。
交渉のプロである弁護士は相手側との間に入り、適切な対処をしてくれます。

物損事故から人身事故に切り替える方法

事故発生当時には身体に異常が見られなくても、時間が経過すると痛みを感じたり、実はケガをしていたことが分かったりする事例は多いです。
そんなときは、物損事故から人身事故に切り替えることができます。

医師の診断書をもらう

人身事故に切り替えるには、客観的に事故によりケガをしたということが分かる必要があります。
その条件は診察を受けた病院で診断書をもらうことでクリアできます。
基本的には、よほどの期間が経過していない限り、診断書をもらった後に警察に届け出をすることで事故の種類を切り替えられるでしょう。

当事者間では人身事故として取り扱う

警察での切り替え処理がされなくても、事故によりケガをした事実が医療関係資料などにより明らかである場合には、自賠責や保険会社から人身事故としての補償が受けられることがあります。

早めに弁護士に相談する

上記の2通りの方法でも人身事故として取り扱いをして貰えない場合には、弁護士への相談を考えてみてください。
弁護士は資料や過去の裁判事例等を勘案し、事故の状況等を詳しく分析して、被害者側の正当性を強く主張してくれます。
相手側も弁護士がやり取りに出てくるだけで、考えが変わることもしばしばあります。
なにより解決への近道になるのは明白です。

注意点

ケガの原因が交通事故であることを証明するためには、最初の診察までに長い時間を空けないことが肝心です。
どんなに忙しくても1週間以内には病院へ行くようにしましょう。
また弁護士に依頼するときは、なるべく早いタイミングで依頼することをおすすめします。
なおかつ交通事故の問題に精通している弁護士を探すのがポイントです。
弁護士にも得意な分野とそうでない分野があります。
そのため、交通事故の問題に強い弁護士を見つけるのに時間がかかってしまうこともあります。

物損事故の加害者

今までは被害者目線からでしたが、万が一自分が加害者になった場合の話をします。

物損事故の場合の点数について

実は被害者のいない物損事故であれば、ただの事故として見なされ違反点数も加算されません。
つまり、道路交通法の違反でないため免許証の点数に影響しないのです。
そして人身事故のような刑事罰の対象にもなりません。
物損であれば加害者にとってデメリットはなく、刑事処分および行政処分を受けることはないということです。
ただし飲酒運転や無免許運転が原因のときなど、明らかな違法行為の場合はもちろん処罰の対象になるので誤解しないように注意してください。

物損事故のお詫びの仕方について

保険に加入していれば、被害者側とのやり取りは保険会社がします。
しかし被害者感情としては、加害者からの直接的な謝罪がなければ良い気分はしません。
そのため可能な限り謝罪文を送ることをおすすめします。
謝罪文を書きお詫びをすることで、示談等の話もまとまりやすい傾向にあります。
内容については保険会社の担当に相談するなどして、事前に打ち合わせをするのも良いでしょう。
誠心誠意、心を込めて謝罪すれば相手もきっと分かってくれるはずです。

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