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後遺障害について 逸失利益

逸失利益の算定方法

逸失利益の算定は労働能力の低下の程度、収入の変化、将来の昇進・転職・失業などの不利益の可能性、日常生活上の不便などを考慮して行います。

1.基礎収入

逸失利益算定の基礎となる収入は、原則として事故前の現実収入を基礎としますが、将来、現実収入額以上の収入を得られる立証ができれば、その金額が基礎収入となります。なお、現実収入額が賃金センサスの平均賃金を下回っていても、将来、平均賃金程度の収入を得られる蓋然性があれば、平均賃金を基礎収入とします。

基礎収入について詳しくはこちらからご参考ください。

2.労働能力喪失率

労働能力の低下の程度については、労働省労働基準局長通牒別表の労働能力喪失率表を参考とし、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度、事故前後の稼働状況等を総合的に判断して、具体事案に応じて評価します。

3.労働能力喪失期間

  • ① 労働能力喪失期間の始期は症状固定日とします。未就労者の就労の始期については原則18歳としますが、大学卒業を前提とするとするケースは大学卒業時とします。
  • ② 労働能力喪失期間の終期は、原則として67歳とします。
    症状固定時の年齢が67歳を超える者については、原則として簡易生命表の平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とします。ただし、労働能力喪失期間の終期は、職種、地位、健康状態、能力等により原則と異なる判断がなされることがあります。事案によっては、期間に応じた喪失率の逓減を認めることもあります。
  • ③ むち打ち症のケースでは、第12級で10年程度、第14級で5年程度に制限する例が多く見られていますが、後遺障害の具体的症状に応じて適宜判断していきます。

4.中間利息控除

労働能力喪失期間の中間利息の控除は、ライプニッツ式によります。中間利息控除の基準は症状固定時とすることが通常ですが、事故時とする裁判例も見られます。

5.生活費控除の可否

後遺症逸失利益のケースは死亡逸失利益のケースと異なり、生活費を控除しないのが原則です。

6.計算例

  • ① 有識者または就労可能者:基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
  • ② 18歳(症状固定時)未満の未就労者:基礎収入額×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数)

将来介護費

医師の指示または症状の程度により、将来にわたって介護の必要があれば、被害者本人の損害として認められます。
職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日につき8000円となります。
ただし、具体的看護の状況により増減する場合があります。


基礎収入

1.有職者

  • ① 給与所得者
  • 原則として事故前の収入を基礎として算出します。
    現実の収入が賃金センサスの平均額以下であるケースでは、平均賃金が得られる蓋然性があれば、平均賃金が基礎収入として認められます。若年労働者(事故時概ね30歳未満)のケースは、学生との均衡の点もあり、原則として全年齢平均の賃金センサスを用います。
  • ② 事業所得者
  • 自営業者、自由業者、農林水産業などについては、申告所得を参考にしますが、同申告額と実収入額が異なるケースは、立証がある場合、実収入額を基礎とします。
    所得が資本利得や家族の労働などの総体の上で形成されているケースでは、所得に対する本人の寄与部分の割合によって算定します。
    現実収入が平均賃金以下のケースでは、平均賃金が得られる蓋然性があれば、男女別の賃金センサスによります。現実収入の証明が困難な時は、各種統計資料によるケースもあります。
  • ③ 会社役員
  • 会社役員の報酬については、労務提供の対価部分。

2.家事従事者

賃金センサスの産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎収入とみなします。有職の主婦のケースは、実収入が上記平均賃金以上のときは実収入により、平均賃金より下回るときは平均賃金により算定します。家事労働分の加算は認めないのが一般的です。

3.無職者者

  • ① 学生・生徒・幼児等
  • 賃金センサスの産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額を基礎とします。
    女子年少者の逸失利益については、女性労働者の平均賃金ではなく、男女を含む全労働者の全年齢平均賃金で算定するのが一般的です。
    なお、大学生になっていない者についても、大卒の賃金センサスが基礎収入と認められるケースがあります。
  • ② 高齢者
  • 就労の蓋然性があれば、賃金センサスの産業計、企業規模計、学歴計、男女別計、年齢別平均の賃金額を基礎とします。

4.失業者

労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性がある者は基礎収入が認められます。
一般には、再就職によって得られるであろう収入を基礎とすべきで、その場合、特段の事情のない限り、失業前の収入を参考とします。ただし、失業以前の収入が平均賃金以下のケースは、平均賃金が得られる蓋然性があれば、男女別の賃金センサスによります。

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